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Rebirth Your Piano ~最高品質を追求する~(ピアノ工房作業工程のご紹介動画)

昭和45年に創業以来、ピアノ一筋で経営してきました。ピアノの修理工程はすべて社員が手掛けております。
歴史に裏付けされた熟練の技を是非ともご覧ください。

全国各地の拠点から、1ヵ月に1,000~1,500台(年間約16,000台)のピアノが本社倉庫に入荷します。入荷したピアノは、経年変化や使用頻度などが1台1台異なりますので、入荷時点で各部品や外装の状態を正確に記録して、必要な修理や部品交換の指示を出します。

入荷検査が完了したピアノは、最大約3,000台のピアノを収容可能な専用倉庫(2,500坪)で保管します。その後は、お客様からのご注文に応じて社内のピアノ工房(600坪)の各ブースに移動して、それぞれの整備作業を進めていきます。


入荷検査にて、新品同様に仕上げることが可能と判断されたピアノは、ピアノ工房の専用作業ブース(大小13ブース)に移動して、専門スタッフが分解した後に、必要な作業を進めて行きます(約60人が在籍しています)。この工程では、ピアノ線やチューニングピン・ペダル・蝶番などの錆や汚れを除去して、鍵盤の汚れやスリキズなどを落とします。

塗装修理が必要なピアノは、3基ある専用ブースにて塗装作業を行います。木目のピアノの場合、1台1台風合いが異なりますので、それぞれの特徴を生かした本来の色合いを蘇らせています。 この作業は、ピアノの外装修理において最も繊細で高度な技術を要する作業となりますので、数年間にわたる豊富な経験が必要です。

黒色のピアノの場合、ラッカー・ポリエステル・ポリウレタンなど、それぞれのピアノに最適な塗料を用いて、研磨→塗装→乾燥を繰り返して、徐々に完成させていきます。(塗装ブースは、年2回専門会社による作業環境測定を実施していて、常に良好の評価を得ています。)

塗装作業が完了したピアノは、塗料を乾燥させる専用の赤外線ヒーターを一定時間照射した後に専用の乾燥室に移動して、1~2週間程寝かせます。これにより塗料の水分を蒸発させて塗装した部分を安定させることができます。乾燥時間を十分にとらないと、数年後に塗装部分がひび割れしてしまう等の変化が生じてしまいますので、絶対に欠かせない重要な工程です。

乾燥室で寝かせたピアノは、次に研磨作業を行います。この作業は、全体を鏡面の様にキズが全くない“ピカピカ”の状態に仕上げる作業です。始めに、エアーサンダーを用いて、目の粗いヤスリから徐々に目の細かいヤスリへと変えていき、最終的には、写真の様に専用ワックスや超微粒子を含ませたハンドバッファーを用いて研磨します。この作業を、早く正確に行える様になるまでには、数年の経験が必要となります。


ポリエステル塗料で塗装されたピアノは、同じポリエステル塗料で修復します。まず、キズが付いている部分を加工して、塗料を少し多めに埋めていきます。ポリエステル塗料は短時間(2時間程度)で非常に硬く固まります(硬度7H程度)。その為、広範囲に塗装を施すと研磨作業に多くの時間を要してしまいますので、部分塗装に止めて、作業効率を上げる様にしています。尚、当社ではこの作業の品質基準を、「修復した部分が目で見て分からないこと」と定めています。この基準を満たす技術を習得する為には、鏡面塗装の仕上げと同様に数年の経験が必要です。

この部屋では、ピアノ内部に使用されている各種部品の交換や調整作業を行っています。ピアノを気持ちよく演奏できる状態に仕上げる為にとても大切な作業であり、100分の1ミリ単位の精度が要求される工程です。繊細な作業の繰り返しとなりますので、主に女性が担当しています。

「バットスプリングコード」とは、ピアノのハンマーが、ピアノ線を打弦した後、次の打弦に備える為に、瞬時に元の位置に戻す為の装置の一部です。このコード(細い紐)は、使用頻度が多くなると切れてしまうことがありますので、その様な場合には張り替える必要が生じます。


鍵盤には、手前側の下部と中央部付近の2箇所に穴が開けられています。また、鍵盤が置かれている棚状の板には、1本の鍵盤に対して2本の金属のピンが打ち込まれています。鍵盤は、この2本のピンに2箇所の穴が差し込まれて制御されています。但し、そのままの状態ですと、鍵盤(木)と金属のピンが直接接触するので、摩擦による雑音が出たり、鍵盤の穴の部分が直ぐに削れたりしてしまいます。この様な問題が生じない様に、鍵盤の穴の部分には、羊毛のクロスが貼られており、このクロスを「ブッシングクロス」といいます。このクロスは使用頻度により、徐々に摩耗してしまい、また、虫の被害にあって消滅してしまうこともあります。 その様な状態になりますと演奏に悪い影響を及ぼしてしまいますので、状態によって貼り換えることが必要になります。当社では、厳しい基準を設けており、貼り換える際は、メーカーの純正部品もしくは、カシミヤ混紡の最高級素材を用いております。

ピアノの鍵盤は、使用頻度などによって剥がれてしまうことや欠けてしまうこと、ひび割れしてしまうことや変色してしまうことなど、様々な変化を起こすことがあります。見た目だけではなく、演奏者の指先の感覚を損なわない為にも、状態に応じて貼り換える必要があります。

この作業は、鍵盤の重さ(重りを乗せて何グラムで下がるか)や、鍵盤の高さや深さ(専用の定規を用いて飛び出したりへこんだりしている鍵盤がないか、鍵盤を押すと何ミリで底に到達するか)を測定して、それぞれ規定値通りに調整します。この作業は、時に100分の1ミリ単位の精度が要求されます。


左の写真は、アップライトピアノの低音部の弦(巻線)を張り替えている所です。ピアノ線は全体で約230本あり、その総張力は約20tにもなります。その為、取り外す際は全体的にバランスよく張力を緩めていき、取り付ける際も全体的にバランスよく張っていく必要があります。右の写真は、グランドピアノのアクションに、新しいハンマーを取り付けている所です。セクションごとに両端のハンマーを取り付けてから、それを基準にして間のハンマーを取り付けて行きます。取り付けた後も、ハンマーがピアノ線を打弦する位置や角度を調整したり、ハンマーの弾力性を調整したりと繊細な作業が必要ですので、完成するまでには多くの時間を費やすことになります。


左の写真は、グランドピアノの整調・整音作業をしている所です。この整調・整音作業は、オーバーホールの最終段階の非常に重要な作業です。そのピアノが出せる最高の音を引き出す為の、高度な技術と精度を要する作業です。その為、相当な経験を積んだ調律師でないと、弾きやすく最高の音を出せるピアノに仕上げることは出来ません。ですから弊社では、調律師の育成を目的とした社内研修会や、ピアニストや歌手を招いて行う演奏会を定期的に実施して、多くの専門家からアドバイスを頂戴し、技術向上に役立てています。右の写真は、調律専用室での調律作業風景です(撮影の為、ドアは開けてあります)。前述の整調・整音と、調律の3種類全ての作業を行うことで、理想の音色を作り上げています。


ここまで紹介してきました様に、それぞれの工程が完了した時点でも検査が行われますが、ここでの完成検査とは、全ての工程が完了して組立した状態で行われる検査になります。細部にわたって入念に検査をして、少しでも問題が見つかった場合は、元の部署に戻されて再仕上げを行います。この検査を終えたピアノは専用の部屋に保管されて、出荷の前日に最終検査を行います。出荷前日検査にて問題が発見されるケースは非常に稀ですが、最高品質を追求する為には重要な検査となります。 ここまでの全ての作業工程を終えると、新品同様の最高品質となります。この様な商品を、半世紀にわたって取引先楽器店や調律師、更には、ピアニストから一般のお客様まで幅広く提供しており、ご満足を頂いております。


当社で分解整備を施したピアノの多くは、東京港・千葉港・横浜港から海上コンテナを利用して世界各国の取引先へ輸出されます。その数は毎月約1,300台になります。輸送期間はアジア諸国で1週間前後、ヨーロッパやアメリカ東海岸の場合は1ヵ月程度掛かりますので、途中でピアノが動いてキズが付いたり、荷崩れなどを引き起こしたりしない様に、当社で独自に開発した専用緩衝材を用いて、1台1台厳重に養生をした上でしっかりと固定しています。この様にして、世界中のお子様のもとへ届けられることになります。